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豊かな国は芸術しなければならない

 

豊かさが実感できない。と各所で叫ばれています。

しかし、

日本で、水が飲めずに、明日死ぬかもしれないという人は希です。

数字の上からも、国連開発計画(UNDP)が、2006年177ケ国・地域の生活の豊かさを比べた「人間開発報告書(PDF)」によると

日本の豊かさは、世界7位に位置します。

では、豊かな国の国民は何をしなければならないでしょうか?

1口で言えば、あるべき姿を問い、行動する。

ということです。下図をご覧下さい。

全ての事象は陰陽・遠心求心のバランスですから、現実の人の行動をこの構図にあてると上図のようになります。

この2つはどちらが優れているというものでもなく、現証(現象)であり、バランスです。

この図はとても大切な構図ですから頭に入れて頂きたいと思います。

ややもすると人は、そのいずれかに傾斜しがちになります。

そのバランスが取れたときはじめて、個々は天命(特性)を生かした生活規範を生み出します。

つまり、これがあるべき姿の1つの構図として理解して下さい。

その時、ここのタイトルでもある、豊かな国は自己実現の1つの方向として

「芸術」に向かう命

を大切にしなければならない、ということです。

この方向は自らの感性を磨き、感応力を高めます。

この感応力こそが、共有する命のエネルギーとなって展開するのです。

例えば、

別項で掲載した下の写真

この写真を見てあなたは何を感じるでしょうか?

炎天下、息絶え絶え、自身の命さえ、ままならない姉は弟の命を守らんと

一杯の紙コップの水を大切に弟に捧げているのです。

「どこの国?私の生活とは関係ないわ」

ですか?

それとも、ここに身を捨てた兄弟愛いっぱいの姉に心を通わす事が出来ますか

この感覚が、まさに「芸術に向かう命」そのものなのです。

その感覚には比較もなく、何の損得勘定もない筈です。

つまり

「芸術に向かう命」とは、人に本来、潜在している「感性」を磨くということあり

磨くと「感能力」が高まるのです。

これについては、改めて他項「共鳴力を高めると意識が進化する」をご覧下さい。

その感能力・共鳴力なくして、本来は社会活動も成立しないのです。

成立しないどころか、遠心・因果律の特性である、二元対立の世界(上図右)に右往左往してしまうのです。

古来より東洋哲学や宗教の世界では、

二元対立を突破し、絶対不二の境地を追求しようとしました。

例えば、日本思想の根底に位置する本覚思想(下記)がそれです。

 

日々の生活の中で、何か対立に心悩ませた時

この事をチョット思い出して下さい。

そして、対立ではなく、少し高所から事の事態を静観して下さい。

そこには

「違いの発見」と「違いの共生」が役割分担として稼働していることに、気づくようになっています。

この「気づき」が受け入れるということであり、仏教でいう「忍辱」の正体に他ならないのです。

 

ぜひ、「芸術する感性」を豊かな国民の使命として確認して下さい。

 

本覚思想とは

本覚思想という呼称は『大乗起信論』に初出する「本覚」より展開、二元分別の世界を超越して絶対の世界を究明し、そこから現実の全てを鳥瞰し、現実肯定に至る。中国においては賢首法蔵が『華厳経』とともに『大乗起信論』を活用して華厳哲学を確立したのが本覚思想の発端。日本では空海(774〜835)が、『釈摩訶衍論』の「不二摩訶衍法」という語を重視して、真言密教の体系化に活用。日本では、この教理は天台本覚思想として開花し、鎌倉仏教の教理的基盤となっている。

 

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