人の幸せを祈る
 
断捨離を断捨離しなさい
 


                 文.illustKohsi

 

断捨離」がブームになっています。

ヨガの行法哲学「断行・捨行・離行」の頭文字をとって「断捨離」と名付けられたたもので、

「断行(断つ行)・捨行(捨てる行)」を通して、3段階目の執着から離れる「離行」へ

向かわせるというストーリーです。

最近では、「断捨離セラピー・断捨離ハウス・ダンシャリアン・断捨離術」などという言葉と共に

書店ではコーナーが出来たり、平積み扱い商材になっています。

そして、世間の「おそうじ」ブームの延長線上にのって、ますます、その勢いは強くなっています。

過分な物への執着はバランスを欠き、自身の精神的不調和も招きますから、

他項「捨てると新気が入る」で記した通り「捨てる事」で、そこから自身を見つめるキッカケ

になれば、それはとても意味のあることです。

 

しかし、ここに気づかない「落とし穴」があることも把握しておかなければなりません。

いくつか列記すると

1.度を超すと「断捨離」という行為にとらわれ、「断捨離」というエゴを生み出してしまう。

2.物が多い場面で、逆にストレスを生み出してしまう。

3.ヨガ(瑜伽)の行法哲学は、小乗の域を出ず、そこから大乗の「他を思いやる」という

  菩薩行の観念がないので「断捨離」を徹底しすぎると、「我良し」、逆に、地域社会へ

  の視点が希薄になる傾向を生み出す。

  ※少し前には、『求めない』という本がベストセラーにもなったが、「断捨離」と共通する
   「あらゆる欲を捨て去る」
   という基本発想は、心性を見つめるには益するが、極端に社会性を低下させてしまう。
   大乗密教で言うところの「欲を是認し、欲を転換し、人の幸せに役立てる」というスタンスこそが、エネルギー
   値を上げ、巡りを良くし、お金も人も巡りを良くする。これからの社会には、困っている人がいたら知らん顔しない
   という菩提心こそが必要。

などです。断捨離で言うところの「不要な物は捨てる」、これは間違いではありません。

しかし、生活の中では、むしろ「あふれる物に感謝」して暮らす事が出来るかが大切でもあり

このバランスが大切だという事です。

 

今、時代も大きな節目を迎え、あらゆるシーンで両極性が顕著に現れ出でる時代になっています。

過去「愛と瞑想」「関係と聖なるもの」「創造力と因果律」「小乗と大乗」などと、その両極性

は表現されてきました。

ここで言えば、

・「全ての欲を捨てなさい」

という発想と

・「全ての欲 オッケーですよ、方向だけ変えて、人の役に立ちなさい」

という発想です。

前者(無欲)で自身を見つめ、後者(欲)をエネルギーとして社会に係わるのです。

これが両極を調整する秘訣です。

この物理空間では、他方を無視して、一方にばかり傾斜すると、

そこにバランス調整しようとする力が働きます。

「無欲」の発想が蔓延すると、

  予想もしない災害が起こり、人助けの気運が高まるようになっています。

どうぞ、皆さん、断捨離を通して「断捨離を断捨離する」域に進まれ、バランス感覚を大切に

されて下さい。

その時が本当の断捨離となるでしょう。

そして、「断捨離」という言葉を商標登録し、我がものとする人もいなくなるでしょう。

 

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